糖尿病の種類
糖尿病には、発症の原因・機序によっていくつかのタイプに分けられます。ご自身がどのタイプの糖尿病なのかを知ることは、治療法や必要な検査を選択するにあたり非常に重要です。
糖尿病の方で、ご自身がどのタイプの糖尿病かご存じない方は、ぜひ主治医に確認してみてください。
あなたの糖尿病はどのタイプ?
知っておくべき4つの分類
糖尿病は、その原因によって大きく4つのタイプに分けられます。「1型糖尿病」と「2型糖尿病」はご存知の方も多いかもしれませんが、実はこれだけではありません。それぞれのタイプで、あなたの体に何が起こっているのか、そしてどんなリスクが潜んでいるのかを見ていきましょう。
1. 日本人に最も多い「2型糖尿病」:忍び寄るサイレントキラー
日本の糖尿病患者さんの95%以上がこのタイプです。遺伝的要因に加え、日々の食生活や運動習慣、加齢、ストレスなどが複雑に絡み合って発症します。
原因
- 遺伝的要因:家族に糖尿病患者がいる場合、発症リスクが高まります。
- 加齢:40歳を過ぎると発症しやすくなると言われています。
- 生活習慣:過食、早食い、高脂肪食、運動不足、肥満、不規則な食事時間、そしてストレスも大きく影響します。
症状
2型糖尿病の最も恐ろしい点は、初期にはほとんど自覚症状がないことです。しかし、水面下では確実に病が進行し、気づいた時には深刻な合併症があなたの体を蝕んでいます。
- 手足のしびれ、痛み、感覚の低下:神経が破壊され始めているサインです。
- 頻尿、性機能の問題(ED):体の機能が正常に働かなくなっている証拠です。
- 感染症にかかりやすい、傷が治りにくい:免疫力が低下し、危険な状態に陥りやすくなります。
「自分は大丈夫」と思っていませんか?症状がないからこそ、知らないうちに病気が進行し、取り返しのつかない事態になることもあります。手遅れになる前に、今すぐご自身の状態を確認しましょう。
2. 突然発症する危険なタイプ「1型糖尿病」:時間との闘い
すい臓のインスリンを作る細胞が何らかの原因で破壊され、インスリンがほとんど作れなくなる病気です。自己免疫が関与していると考えられており、生活習慣とは無関係に発症することがあります。
種類
1型糖尿病は、病気の進行スピードによってさらに3つのタイプに分けられます。
- 劇症1型糖尿病:わずか数日のうちにインスリンが作れなくなり、命に関わる非常に危険な状態に陥ります。発見された時点で血糖値は非常に高く、すぐに治療を開始しなければ命の危険があります。
- 急性発症1型糖尿病:数ヶ月でインスリン依存状態になる、最も一般的なタイプです。
- 緩徐進行1型糖尿病:年単位でゆっくりとインスリン分泌が低下していきます。2型糖尿病と間違われやすいですが、適切な治療を早期に始めることが重要です。
症状
1型糖尿病の症状は突然、劇的に現れるのが特徴です。
- 尋常ではない喉の渇き、頻尿:体が水分を欲し、排泄しようとします。
- 急激な体重減少:体がエネルギーを失い、痩せ細っていきます。
- 極度の疲労感:体が正常に機能せず、常にだるさを感じます。
- さらに進行すると、呼吸困難、吐き気、嘔吐が起こり、最悪の場合、昏睡状態に陥ることもあります。
これらの症状に心当たりがあるなら、一刻の猶予もありません。すぐに専門医の診察を受け、適切な治療を開始することがあなたの命を守る唯一の方法です。
3. 妊娠中の落とし穴「妊娠糖尿病」:お母さんと赤ちゃんへの影響
妊娠中に初めて発見される“糖尿病には至っていない”糖代謝異常です。お腹の赤ちゃんのために分泌されるホルモンの影響で、一時的に血糖値が上がりやすくなります。
原因
- 遺伝的要因、肥満、高齢妊娠などがリスクを高めます。
症状
基本的にはお母さん自身に症状は出にくいですが、高血糖状態が続くと、お母さんや赤ちゃんに深刻な影響を及ぼす可能性があります。
- おなかの赤ちゃん:過剰な栄養供給により、赤ちゃんが大きく育ちすぎてしまい、難産や出産時のケガのリスクが高まります。
- 生まれたばかりの赤ちゃん:出生後に低血糖や呼吸困難、黄疸などを起こす危険性があります。
- お母さんの体:妊娠高血圧症候群や早産、帝王切開のリスクが高まります。
妊娠糖尿病と診断されたら、出産後も安心はできません。将来的に本当の糖尿病を発症するリスクが高いため、産後も定期的な検査が不可欠です。
4. その他「遺伝子異常や他の病気による糖尿病」:隠れた原因
インスリン作用に関わる遺伝子異常や、すい臓・肝臓の病気、内分泌疾患、特定の薬剤(ステロイド薬など)の使用が原因で起こる糖尿病です。
原因
- 遺伝子異常
- すい臓や肝臓の病気(手術歴含む)
- ホルモン異常を起こす病気(内分泌疾患)
- 特定の薬剤の使用
このように、糖尿病の原因は多岐にわたります。「不摂生だから」と自己責任論で片付けられる病気ではありません。しかし、どのような原因であっても、「血糖値が高い状態を放置すること」が最も危険な行為です。
糖尿病は放置すれば
「命に関わる合併症」
を引き起こします
どんな種類の糖尿病であっても、高血糖状態を放置すると、確実にあなたの体を蝕み、最終的には失明、腎不全による透析、足の切断、心臓病、脳卒中など、命に関わる深刻な合併症を引き起こします。
「まだ症状がないから大丈夫」「もう少し様子を見よう」その判断が、取り返しのつかない事態を招くかもしれません。
当院にご相談ください
当院では、糖尿病専門医が、あらゆる種類の糖尿病に対応し、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提供しています。
「もしかしたら糖尿病かも」「以前に血糖値が高いと言われたことがある」「家族に糖尿病の人がいるから心配」
どんな些細なことでも構いません。あなたの不安を解消し、健康な未来を守るために、ぜひ一度ご相談ください。早期発見、早期治療が、あなたの人生を守る鍵となります。
よくある質問
何が原因で糖尿病になる?
日本人に多い2型糖尿病の場合、遺伝的要因に加え、過食・早食い・運動不足・肥満といった生活習慣、ストレス、そして加齢(特に40歳以上)が主な原因となります。しかし、1型糖尿病のように生活習慣とは関係なく発症するタイプもあります。
糖尿病になるとどんな症状が出る?
2型糖尿病は初期には自覚症状がほとんどなく、知らないうちに進行します。進行すると、手足のしびれや痛み、視力低下、むくみ、性機能の問題、感染症にかかりやすい、傷が治りにくいなどの症状が現れることがあります。1型糖尿病では、強い喉の渇き、頻尿、急激な体重減少、極度の疲労感が突然現れ、進行すると昏睡状態に陥る危険もあります。
1型糖尿病の症状は?
典型的な1型糖尿病では、短期間に血糖値が異常に高くなり、強い喉の渇き、多飲、多尿、体重減少といった症状が突然出現します。重症化すると、呼吸困難や吐き気、嘔吐、さらには意識を失う「糖尿病性昏睡」に陥るなど、非常に危険な状態になることがあります。
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